「まだ怒ってんのかよ?彼氏の頼みくらい聞いてくれたっていーだろ?」 「私、今日は早く帰りたいの」 「何か急ぐ予定あんの?」 「急ぎって訳じゃないけど…」 「ならいーじゃん。俺も早く帰りたいんだよ」 軽口を叩きながらも、貴弥の目と手は資料を整理していく。 「貴弥も急いでんの?」 「おう!」 資料から顔を上げた貴弥は、とても楽しそうだった。 ……この表情をする時は、決まって同じ理由だ。 「今日は美和の誕生日だからな!」