貴弥の彼女は私1人。


だけど。


貴弥の女


じゃない。


私は貴弥にとって都合がいいから。


だから貴弥は私を彼女の座に置いてる。


それを裏付けるように、貴弥は私になんでも話す。


他の女と遊んだことも。


貴弥はわかってるのかな。


私が貴弥を好きなんだってこと。


本当は、ずっと前からなんとなく感じてた。


貴弥は、私に恋愛感情なんて抱いてない。


本当に酷い男に惚れたもんだ。


「……生?莉生!」
「へっ?」

あ……ヤバ。


「もー。久しぶりに会ったのに上の空とか酷くない?」
「ごめんごめん」


相変わらず抜けてるんだから。


そう言ってけらけら笑うのは、久しぶりに会った親友の遥。


大学は別になってしまったけど、時々会ってはこうして話に花を咲かせている。