「ただいまー」
「莉生ぉぉぉぉっ!」


玄関先で抱きついて来ようとする兄貴を交わして、靴を脱ぐ。


「莉生。まさかあの男と会ってたんじゃないだろうな?」
「違うわよ。友達と呑んで来ただけ」
「友達って、男じゃないよな?」
「…男もいたけど、別に友達だし。兄貴が心配するようなことは何もないわよ」


心配が過ぎる兄貴に、うんざり。


「それなら良い。けど、遅くなる時は俺が迎え行く」
「やめてよ」
「なんでだ⁉」
「子供じゃないんだから、1人で大丈夫よ」
「子供じゃないから心配なんだろうが!」
「だーかーら!兄貴は心配しすぎ」


呑んで帰る度にこんな遣り取りがあって、もう本当になんで兄貴は帰って来ちゃったのかなぁ…と思う。


「あー。因みに明日も夜遅くなるから」


捨て台詞のように兄貴に伝えて、私は自分の部屋に駆け込んだ。