「あのー。」





「いらっしゃいませ!」



お客さんの声がして振り向くと空が少しオレンジ色に…。




あ、そろそろお客さんも帰るころなのかな?




そろそろ夕方。かき氷もさすがに売れない…。






「パラソル返しに来ました。」







「あぁ…はい!お名前は?」





「今井です。」





パラソルの貸出の名簿に視線を落とす。






「…でさ。なんでいるわけ?仕事は?」




そうお客さんに問う。






私の目の前にいるのはユウと…たぶん今井…さん?






「え?あぁ…今日は休み。」




だから、弁当いらなかったのか…。




「あ!噂のリナちゃんって君?!」




今井さんかな?隣にいた男の人が私の顔をまじまじと覗き込む




「え。あーまぁはい。リナです…。」





チャラいな、おい。






「あれ?リナちゃんお知り合い?」





後ろから声がして振り向くとチカさんがかき氷を3つ持って立っていた。






「あ、まぁ…。」







「どうも。うちのリナがお世話になってます。」







にこっと笑うユウ…。








「う、うちの?!」




チカさんは目をまん丸にする。




「い、いやいやいやいや!誤解しないでくださいよ!」




即座に弁解…。






「ただの同居人です!幼馴染的な…いや!とにかく同居人!」







「ふーん」






にやにやのチカさん…。





「いやだからぁ…。」







「なに!?どーしたの?ねーちゃん。」






奥から出てくるチエちゃん…。






「あのイケメンさんね、リナちゃんの…ど!う!きょ!に!ん!だって!」






「どうも。」





ぺこっと頭をさげるユウ…。




その隣で今井さんも…。






「え!?嘘!?」






「嘘じゃないですけど…。あ、今井さんは違いますけど…。」





「え?!俺の名前知ってんの!?!」





そのキラキラの目はなんなの…。






「今、知りました。」






「あーそうなの?」





「はい。そーです。」






「俺のこと好きで名前覚えちゃったのかと思った!テヘッ」






「テヘってなんなんですか!てか好きってなんなの!?」





「ハハハッ」





顔をくしゃくしゃにさせて笑うユウ。







「いやぁ、俺のことをユウから聞いて、その話の中の俺をリナちゃんは好きになって…みたいな?」






「会ったこともない人を好きになったりしません!!」






「素直じゃないなー。」







「なんなんですか!!」







「アハハハッ楽しそうでなによりっ!あ、そろそろ片づけはいろっか。すぐ終わるんで、ユウさんと今井さん?は待っててあげてください。」






「えぇ?」



待ってもらわなくていいんですけど…。





「了解でーす」



今井さんのちょっと高めの声が響く…。




「お前…。」





「えぇ?ユウは待ってあげないの?俺は待っててあげちゃうよ?」






「はいはい…。」






「んじゃ、待ってるね~」







パタパタと海岸へ向かって走っていく今井さん…。




その後を歩くユウ…。






「はぁ…。」







「じゃ、早めに片付けちゃおうね!」






「はい。」








はぁ…。なんか一瞬で疲れたんだけど…。





でも…。ちょっと楽しいかも。