クレープな恋


「ピピピピッピピピピッ」


眠い…
重い体を起こして、支度をする。






「おはよー」



リビングにはすでに起きていたお姉ちゃんとお母さんの姿があった。




「あ、咲おはよ。お母さん、ごはんまだ~」



「今作ってるわよ。咲、顔洗ってきなさい」




「うん」





お姉ちゃんは今年大学生だ。


彼氏の大輔くんと仲良くやってるらしい。


大輔くんは何回かうちにごはんを食べに来たりした。


背が高くて、かっこよくて、優しくて…

私は大輔くんとお姉ちゃんはお似合いだと思う。


私もあんな彼氏が欲しいなー










私は朝ご飯を食べて、家を出た。




学校に着くと教室に絢の姿があった。


「おはよ!」


「咲、おはよ~。…あっそういえば先生が職員室に来るようにって言ってたよ」


「えっ…私なんか悪いことしたっけ!?」

入学早々職員室に呼ばれるなんて…



「違うよ。たぶん日直だからだよ」



なんだぁ。


「行ってくるね!」












「失礼しましたー」


案の定、日直の仕事を頼まれただけだった。


「あっそうだ☆」




私は教室に帰る前に、屋上に行ってみたくなった。


中学のときも、何かあると屋上に行っていた。



だから、高校の屋上にも行っておかなくちゃね。



「ガチャッ」




屋上の扉を開ける。

すると、




「あぁ!咲じゃん!」



「げっ…拓…なんであんたがいるのよ?」



そこには拓の姿が。



「なんでって…来たっていいだろ?屋上ってなんか落ち着くんだよ」



「まぁ…確かに…わかる気がする。私も屋上好きなの!」



「そうか。俺ら一緒だな♪」



「一緒にしないで。私は一人で屋上でゆっくりしようと思ったのにそしたら…」


「まぁまぁ、いいじゃねぇか。こっち来いよ」


「まったく…」



「なぁ、咲。今日放課後遊ばねぇ?絢も誘っていいからさ。俺ももう一人紹介したいヤツ連れてくから」


絢に聞いてみないとわからないけど…
でも絢のことだからどうせ行くよね。



「うん。たぶん大丈夫だと思う」


「じゃあ決まりな!あ~早く放課後になんねぇかな~」


拓は子供のように嬉しそうな顔をしている。


「あんたって、本当わかりやすいわよね」


「えっ?そうかぁ?俺にはお前の方がよっぽどわかりやすく見えるけどな」


「そう!?私ってそんなにわかりやすい?顔に出てるのかなぁ?」


「うん!めっちゃ顔に出てる。例えば…俺がお前のこと“かわいい”って言うと顔めっちゃ赤くして照れてるし」



「…っ…!!なっ!そんなことないし。そんなことで私は照れません!」


「すぐそうやって向きになって~咲ちゃんは子供でちゅね~」



拓は私を子供扱いしてきた。



「向きになってないし。それにねぇ、昨日から思ってたけど、思ってもないのに”かわいい“とかそういうこと女の子に言わない方がいいと思うよ」


「はぁ?思ってもないのにって。俺は思ったことしか口にしないのー」



…またそうやって私をからかうんだね。




「そうやって何人の女の子を落としてきたんだか」



確かに拓は顔もよく見れば整っているし、明るくて喋りやすい。


拓のこと狙っている女の子、少なくないと思う。




「俺、モテるんで~ごめんなさいね」


「はぁ~?自意識過剰ですかぁ?」



「咲と仲良くなれてまじ良かったわ」

拓が急にそんなこと言うから戸惑ってしまう。


「急に、な、なによ。それに仲良くしてるつもりないんですけどー」



「素直になれよ。俺と仲良くできて本当は嬉しいくせに」



「嬉しくない!!!」



「……………」





あれっ…?拓が急に黙ってしまった。

私ちょっと強く言い過ぎた?

つい、向きになってしまった…



「あ……その…嬉しくない訳でもない……よ?」



「まじで?良かった。俺、咲に嫌われてんのかと思った」




そう言って笑う拓。



無邪気に笑うその顔に思わず見とれてしまった。





「…………あぁっ!!」

やばい!大変なことに気づいた。





「なんだよ。急にデカい声出して」


「もう一時間目始まってるよね!?」


「そうだなぁ」


そうだなぁ…って…


「入学早々さぼりなんて…あーやっちゃった…」


「なんだ、そんなことか。いいじゃねぇか。一時間くらい。俺もさぼり~」



「まぁ…いっか…一時間だけなら……」



「そうそう!それに俺もっと咲と喋りたいし!」



「私はもう話すことなんてないし!」



「またそうやって、咲ちゃんはツンデレなんだからぁ~」




「はぁ??”デレ“の部分はありませんっ!」













「じゃあな!放課後迎えに来るから」


私たちはその後、一時間目の授業が終わるのと同時にそれぞれの教室に戻った。は私の隣のクラスらしい。



授業をさぼった罪悪感はあったけど、拓と話すのはなんだか楽しくて、もっと話したいと思えた。



けっこう気の合うヤツかも。