クレープな恋

その後私たちはゲームセンターに来ていた。




「よぉ~し!咲、欲しいヤツあるか?俺が取ってやるよ」



拓は腕まくりして気合いを入れて、UFOキャッチャーを指差した。




「じゃあ~このクマのぬいぐるみ!」



私は特にクマのぬいぐるみが欲しかった訳ではないけど、


一番難しそうなヤツを選んだ。




さぁ…拓よ。取れるのかしら?

こんな難しいの取れないでしょ!くくっ





「くそぉ~なかなか取れねぇ!」



案の定、拓はなかなか取ることが出来ず、苦戦している。





シッシッシッ。

作戦成功!







「咲、わざと難しいの選んだでしょ?」


絢が私にそっと耳打ちしてきた。





「バレた?」



私も拓に聞こえないようにそっと返事をした。





「当たり前じゃん、わかるよ。でもちょっとかわいそうじゃない?咲のためにあんなに一生懸命頑張って…」




……え?






拓は、百円玉を何枚も使って必死に私が言ったクマのぬいぐるみを取ろうとしていた。




「くそぉ!もう少し待ってくれよな。あとちょっとだと思うんだよ」






その姿はあまりに真剣で。




私は罪悪感をおぼえた。





「あ…拓!もういいから、もう諦めよ?私それよりなんかゲームしたいな~」






「いや!俺は諦めねぇ。絶対取ってやるから」





そ、そんな……

もういいのに。




私のためにそんなに頑張ってくれなくていいのに。











「よっしゃーーー!取れたぞぉ!!…はいっ」




拓はクマのぬいぐるみを私に嬉しそうに差し出した。







その笑顔は少年のように幼かった。










「あ、ありがと!大切にするよ」






「おう」







なんだ。意外といいとこあるじゃん。







私のために、頑張ってくれた…ーー。






私は拓の笑顔を見ていたら、


今更”そんなに欲しい訳でもなかった“なんて言えるはずはなく、




クマのぬいぐるみを大事に抱いた。




















「じゃあそろそろ解散しよっか。絢と咲は帰りこっちだけど、拓は?」





「俺反対方面だわ。じゃ、ここで」





「「じゃぁね~」」








拓と別れて絢と二人になった。





「咲、拓いいヤツじゃん」



「…うん。そうだね。私最初はなにコイツ!って思ったけど、意外と子供だし、かわいいとこあるし」




「へぇ~拓に言っとこ!」



「ちょ、ちょっとぉ!それだけは絶対ダメ!」











「いいじゃ~んっ。咲、もしかして照れてるの!?」






「はぁ?照れてないしっ!……さっさと帰るよ!」





「…はぁーい」















家に帰り、私はクマのぬいぐるみを抱いて眠りについた。