男は私たちのいるクレープ屋さんに入ってきた。
「よっ!高野 咲。それからお友達ちゃん」
馴れ馴れしく私の隣の席に座ってきた。
「あたしはお友達ちゃんじゃなくて絢!よろしくね♪」
「絢か。了解!俺は拓だから。拓って呼んで」
「わかった♪拓」
「あの…なんで私の名前知ってるの!?」
私はずっと気になっていたことを聞いてみた。
「…あぁ。そんなことはどうでもいいんだよ」
「どうでもよくない!それになんなの!?その馴れ馴れしい態度!」
「なんだよ~咲。そんな怒るなって」
「へぇ~いきなり名前で呼び捨てですか。それに怒ってないし」
「呼び捨てじゃダメ?俺のことも拓でいいからさぁ」
「……拓…」
「そうそう。意外と素直じゃん」
はっ。いけないいけない。ついこの男のペースに乗せられてしまった。
「だいたいねぇ!あんたが…」
「はいはいはい!ケンカはそこまで。せっかくだから三人でどっか行こうよ~」
「いいねぇ!それ。俺賛成~」
「でしょ?ねぇねぇどこ行く?拓行きたいとこあるー?」
「じゃあ…新しくできた…」
私を無視してどんどん話を進めていく二人。
「ねぇ!ちょ、ちょっと待ってよ。私行くなんて言ってないし」
「えぇ?咲、行かねぇの?」
「咲、行かないのぉ?」
「……行かないとは…言ってないけど」
「じゃあ決まり♪咲は意地っ張りなんだからぁ」
絢が嬉しそうに言った。
「意地っ張りじゃないしっ!」
「怒った顔もかわいいよ。咲ちゃん」
拓がニヤニヤしながら言った。
「………っ…!!////な、なによそれ!また私をからかって!」
「からかってなんかねぇよ。かわいいからかわいいって言っただけ」
恥ずかしい……そんな何度も“かわいい”なんて…
思ってもないくせに……
本気で思ってる訳じゃないってわかってはいるけど、
やっぱり”かわいい“なんて言われると心臓がドキドキしてしまう。
拓は女の子の扱いが慣れていると思った。
今までもこうやって何人の女の子をドキドキさせてきたんだろう。
私もその中の一人だと思うと余計に腹が立ってくる。
私と絢と拓は三人そろってクレープ屋さんを出た。

