記憶タイムマシン




授業終了後、

「どんまい!」



斜め前の席の春輝があたしの席に来て、笑顔であたしに言う。



「うわ!その笑顔ムカつく!

大体、あたし以外にもう1人日直いるじゃん!」



ソイツにしろよ!と心の中で叫ぶ。



「ああ、そのもう1人が斎藤だからじゃん?」



ツイてないな〜、なんて言ってる春輝。



斎藤って奴はいわゆるヤンキーってやつで、授業に全然出てない。



つまり、今日の日直の仕事は全てあたし1人でしなきゃいけない。



ツイてない……。



「ハハッ、まあ俺も手伝うことあれば手伝うよ。」



ニッコリ笑いながら言う春輝。



春輝ってやっぱりイイヤツ!そりゃ女子もほっとかないわ!



「じゃあ、昼休み――!」



「ごめん、昼休みは先輩に呼ばれてんだよね」



春輝と運べたら春輝もお昼なしに道連れできるはずだったのに…



あたしがガックリとうなだれたところで次の授業のチャイムが鳴り、授業が始まった。