壁にのろのろと近寄ってみて、ゆっくり手を置いてみる。



壁に置いた手からひんやりと冷たいものが体中に流れるような気がして頭が醒める。



あれ、ホントに、ここ……どこ?まさか、誘拐されちゃったとか!?



あたし、どうなっちゃうの?



「だれかぁっ!だれかぁっ!」



叫んで壁を叩く。声も、壁を叩く音も部屋で跳ね返り響く。



――――「騒がしいヤツだな」



気配もなく、いきなり、後ろから男の人の声がした。



「だっ、誰っ!?」



「……うるさいな。誰でもいいだろう。」



全然よくない!よくなさすぎる!誰だよっ!

男の人は綺麗な顔に、長身、ハスキーな声をしている。