「あ、春輝傘入れてくんない?」
「は?いいけど、お前、自分の傘は?」
「やー、なくしちゃってさ、あははっ」
店から出ると雨が先程より激しくなっていた。
やっぱ、あの傘でも女の子に渡しておいてよかったな。
そう思いながらあたしは春輝の傘に入った。
「明日にはやむかな」
「やむらしいぞ」
そうだ、明日、学校であの女の子を探してみよう。
同じ学年だったし…すぐ見つかるよね?
「サイハ、家についたぞ」
「えっ!?もう家!?」
「おー、今日は付き合ってくれてありがとーな!」
そう言って満面の笑みを向けてくる春輝。
あたしはなぜか赤面してしまい、それを隠すように家に入った。