「―――はっ!?」
「じゃーね!」
あたしは無理やり傘を押し付けカフェへの道を走った。
どうせ、安いビニール傘だし、女の子には悪いけど壊れかけだったし。
「ただいま〜」
あたしは濡れているのを少し悪く思いながら席につく。
「どこ行ってたんだ?」
「や、ちょっと」
何となく説明するのがめんどくさかったからはぐらかす。
「ふーん。じゃあ、金払ってくるわ」
「あ、じゃあ金」
そう言ってあたしは鞄から財布を取り出す。
「や、俺ほとんど貰っちゃったから俺が払うよ」
春輝はそう言ってレジへ行った。むだに紳士だな、あいつ。


