記憶タイムマシン




「春輝ちょっと出てくる。」



そう言ってあたしは自分の傘を持って店を出た



「は!?サイハ!?」



春輝が叫んだ声なんて聞こえてなかった。



人混みをかき分け女の子を探す。



髪はショートで…茶髪だった気がする。



小さい頃から走り回って、陸上部にスカウトされたことのある足で追いかける。



――――いた!

前に見えるびしょ濡れの女の子。



あたしは肩を勢いよく掴んだ。



女の子がバッと振り返った。そして、あたしの制服をみる限り、顔を強ばらせる。



「………はい。」



あたしはお構いなしに女の子に傘を渡す。



「じゅーぶん濡れてるけど、これ以上濡れちゃダメだし、あげる」