「何で来たの?」

開店前の店内には私たち二人。

コーヒーのにおいがふんわりと香った。

「返事してなかったからさ」

安原くんは笑う。

「返事?」

「あの時の」

彼はバックの中をさぐった。

そして箱を一つ出して私にこういった。

「四年かかったけど、やっと会えた。」

箱から一枚の写真を取ると私に手渡す。

それは懐かしいあの日の写真だった。

写真の裏に黒いペンで文字が二つ。

゙俺も゙

その日以来。

彼は私の店の常連客になった。

大切な私の「お客さん」になった。