---------- その年の秋ごろ。 院生をやっていた俺は、いつものように、病院に向かっていた。 「ざくろ、今日も…」 そこまで言って俺は目を疑った。 「ぐれん君、久しぶり、だね…。」 「ざくろ。」 いつも寝ているはずのざくろが目を覚ましている。 ずっと聞きたかった声が聴けた。 ずっと見たかった笑顔が見れた。 優しく笑うその笑顔は、6年前、俺が好きだった笑顔と、何一つ変わらなかった…