「早く出ろっ」とクミに焦らされてる中、私はゆっくりと携帯の着信画面を見る。



・・・よかった。



真哉からだ。



通話ボタンを押して耳に当てる。



「もっしもーし」



ちょっとダルそうに出るとざわざわとした雑音が耳に響いた。



「あ、ゆづ?なんかさっき愛斗から連絡があってこれから太陽ん家に行くってさ」



真哉はちょっと焦ったように早口で事情を伝えてくれた。



待たせたって思ってくれてるのかな?



真哉の優しさを勝手に過大評価してみる。



「で?今ゆづ達はどこ?」



「教えてもらった通りみなみ駅の近くにいるけど?」



チラっとクミを見ると興奮してるように「なんだって!?」と会話の先を急いでる感じ。



目線をまたガラスの外に戻すと



「うちらどうすればいい?」



と聞いてみる。



「そうだなぁー・・・。とりあえず俺も今駅着いたからそっち行くわ」



そう言ってきた真哉の声の後ろからはホームのアナウンスが聞こえてきた。



本当にたった今着いたんだね。



電車を降りてから電話をしてくる辺り、やっぱ意外とちゃんとしてるのかも。



私は電話しながら何度も真哉の人間性を観察していた。