俺は連れてってやると言った。 姫華はとてとてキョロキョロ歩いている。 趣味のわりぃ理事長室の ドアの前に着くと 姫華に名前を聞かれ (憶えてないんだ…) と少しショックを受けた。 『…朱月 龍介』 と名乗っても姫華は気付かなかった。 俺は【龍】と呼ばれるらしい。 どこかで【りゅうくん】と 呼ばれるのを願っていた。 そんなことは知らず、 無邪気に笑う姫華は昔から憎めない。