『別に・・・』




教室のドアが開き、数学担当の先生が来た。




「えぇ~今日は新しいとこに入りますよ~。
みなさん教科書を用意して下さいね~」




「教科書忘れた・・・・・」




高橋君、いや、高橋夏樹は少し戸惑った顔で呟く。




ここは貸すべき?




それともスルー??




『・・・どうしたの?』




「・・・教科書忘れたぁ」




高橋夏樹は潤んだ目でガン見してきた。




『何?その目』




「見せろ」




『えぇ~・・・・』




「じゃ、いい」



高橋夏樹は少しいじけて頬をふくらませていた。