「それ、間違ってるぞ」
「心外だなぁ、『雁』は芥川龍之介の代表作だぞ」
「羅生門だよ、駿府、数学は最強だけど国語弱いだろ」


話の意味が分からない晴斗は、不安で一杯になった。


『カリ? ラショーモン? 何だそれ、俺知らねえし』


運良く付き合えたとしても、自分の頭では彼女に付いて行かれそうに無い。


大体、作家名すら分からないのだから。


「hey、lady? 」
「何ですか」
「キミ、クレバーネ」


賢いと言われ、少し照れ笑いを浮かべる陽生。


この表情でハートを完全に射抜かれた晴斗は、またこりずに持ち直す。


「藤川は国語で1位なんだ、この間の中間で」
「数学はお前と早瀬の1,2フィニッシュだろ」


あの御花台で1位と、西工業で1位はものすごい差がある。