サワーチェリーパイ

虹太が差し出すが、晴斗は見向きもしない。


昨日の陽生の存在も気になっていたし、何よりも舞にフラれたショックをまだひきずっていたからだ。


「立ち直れない男っていう名前も欲しいみたいだな、晴斗は」


あきれた虹太は、雑誌をカバンにしまうと、晴斗の頭を小突く。


「だから言ったろ、店に行こうって。オメーはいつまでチェリーちゃんで居る気なんだ? 」


三次も何度言ったら分かるんだと、ややあきれ顔だ。


「うるせぇな、もういいんだよ」


溜め息をつきながら、晴斗は窓の外へ視線を移す。


そこには、御花台の真新しい校舎が見える。