サワーチェリーパイ

そう、元々晴斗は頭が良かった。


ところが幼少期に神輿から落ちて以来、彼の脳細胞の成長が停止していたが、空港での軽トラ落下事件により、元通りになったのだ。


「それより、綺麗になったな」
「昔は汚かったのか? 」


ほおをふくらませる陽生の顔は、6年前と同じだと思いつつ、晴斗は忘れてはいなかったと伝える。


「ずっと気にしてた、でも、お前の立ち直ろうって気持ちに水を差すマネはしたくなかったから」
「バーカ、もう立ち直ったよ。晴斗に会えて、こんな形だけど。な、彼女とか居るのか今」
「居ない、俺、ずっとお前だけだし」
「あのパイみたいだな、今日食べたけど、味変わってなかった。それにチェリーって事も」


笑い出す陽生に対し、6年分の想いを晴斗はそっと唇を寄せて告げる。


「愛してる、俺で良ければ一緒に居てくれるか? 」
「少しはマシになったな、妄想も無くなったし」
「るせぇ」


そんな2人を見て、砂場で遊んでいた子供が声を上げる。


「ママーあのひとたち、ブチューしてる」
「しっ! 見るんじゃありません」


覇闘公園の平和な昼下がり、よみがえった陽生と晴斗の青春が回り始めた。