「晴斗、ごめん」
「俺さ、離れたって平気だから。あいつみたいにツレない事はしないし、帰って来るのを待ってるぞ」
「あたしは、出来ない約束をしたくないから」


晴斗の背中に回した腕を離し、陽生は泣き笑いをする。


どんなに好きでも距離が離れてしまえば、想いは変わってしまうと陽生は誰よりもよく知っているからだ。


「距離があったって、俺は一度想ったら変わらない。絶対に」
「晴斗……」
「最後の頼みだ、この間知らせたパーティーには来てくれよ。帰る前に、絶対」


粘り強さが自慢の青まむしパワーで、なおも食い下がる晴斗。


陽生は困ったような顔になったが、仕方ないとうなづく。


「黙って帰るなよ、俺に」
「ああ」


晴斗が部屋を出て行くのを見送り、1人残された陽生は声を上げて泣き始めた。