「正に葬式だから、俺の恋心の」


晴斗の頭の中では、読経の声と木魚の音が鳴り響いている。


遺影はもちろん、自分の物で、戒名は『無報恋愛下手居士』。


「バカな事言ってる余裕があるなら、動きなさいよ」
「無理だと思いますよ、第一、藤川は精神的に追いつめられてますし」


駿府の反論に対し、磨朝はあきれかえる。


「そんな時、誰かに頼りたくなるんじゃないのかしらね? 」


そして、居並ぶ男達を見回す。


誰か、この悲惨な状況を打ち破る事の出来る人間は居ないのかと。