ものの数分で到着すると、居並ぶ生徒達や教師を蹴散らして校門の中に突入した。


「三次! ヤバイって」
「うるせぇ、早くコレ持って叫べ! 」


現場監督用と書かれた拡声器を渡され、震える手でスイッチを入れた晴斗は、それを口に当てて叫ぶ。


「陽生ぃ! 居るんなら出て来い! 」


その時、2階の教室の窓が開いて陽生が顔を出す。


確認した晴斗は、深呼吸をするとこう叫んだ。


「なんでメールの返信しねえんだ! 俺、心配してんだぞ」


愛の告白で無い所が、晴斗らしい。


運転席で一世一代の告白を期待していた三次は、ガックリと肩を落とす。


「こらぁ! お前ら何をしてる! 」


いかつい体育教師が竹刀を片手に飛び出して来たのを確認し、再びエンジンを掛けると三次はアクセルを踏み込む。


「ずらかるぞ! 」
「おう! 」


無事、逃げ出した彼らであったが、西工業高校に到着すると同時に、体育教師に捕まって1時間の説教を受けたのは言うまでもない。