サワーチェリーパイ

「よく考えろ、俺らは日本人だ。奴らとは違う」


三次の示す指先には、店内で早くも踊り始めているカップルの姿があった。


「no no no! lesson」


アーリオは晴斗の腕を取り、ダンスのステップを教え始める。


「auch! 」


だが、ものの5秒もたたないうちにアーリオの足を思い切り踏み付ける始末。


「な、言わんこっちゃない。止めとけ、恥をかくだけだ」
「でも俺にはもう挽回するチャンスなんて無い、必死にやるしかねえ」
「だったら練習しろよ、俺はパス。この日はバイトがあるからな」


アホ臭いとばかりに禁煙パイプを口元から抜き、ダイナーから出て行く三次。


「キニシナーイ、lesson! 」
「おう」