サワーチェリーパイ

そう言われて、急に目を輝かせるのは虹太だ。


「キンパツ美女! come on! 」
「oh yes! 」


アーリオと勝手に盛り上がる虹太をヨソに、早瀬の方を見ながらうるんだ目で何かを言いたそうにする晴斗。


「なんだい? 」
「陽生、今日は学校に来てたか? 」
「来てたよ、でもここには寄らないで帰るってさ。親がこっちに来るらしい」
「そーかー」


それだけ言うと気の抜けた顔で、コーヒーをすする。


「一昨日はあれからどうした? 」


問い掛けられても答えもしない晴斗に、早瀬は鼻白む。


「コクったタイミングが悪くて、アウト」


代わりに三次が答え、いつもの様に禁煙パイプをくわえながらスポーツ新聞を広げる。