帰り際、陽生の部屋まで送り届けた晴斗は複雑な顔をして口を開く。


「あのさ、俺、昨日言ったけど本気だから」
「分かってる、でも少し時間が欲しい。まだあのショックは抜けてないし、それに自分の書いた小説の書籍化が気になるし」
「絶対に帰るなよ、離れるのは嫌だ」
「うん、じゃあ」


うつむきながらドアを閉じる陽生に、ますます晴斗の顔が曇る。


決死の告白をしたものの、自分の間の悪さに反省していたのだろう。


「あー、あん時バカな事さえしなければ」


エレベーターの中で声を上げても、後の祭りだった。