この騒ぎで、風呂上りに迫ろうとしていた気力は一気にしぼんでしまった。


「早く服を着て、表に出よう。丸一日食べてないから、腹が減った」
「それもいいけど、この部屋で食べないか? 」
「あのなあ、2日分の宿泊料金を払うのはあたしなんだぞ。その上、食事代まで」
「うう……」


それなりのホテルのツイン、2日分の宿泊料金となると晴斗の小遣いで支払える限界を超えていた。


己の情けなさを噛みしめながら、服を着ると部屋から出る。


「1日分は、俺、絶対に返すから」
「あたしのワガママだからいい、それより夕飯を食ってから帰ろう」


徒歩で駅に向かい、適当なレストランで食事を済ませてから電車に揺られて西東京に戻った。