水上バスの桟橋近くにあるテラスに並んで腰を下ろし、うなだれたままの陽生の肩を片手で抱く。


「フラれちまったなー」
「幼なじみよりも、いつも側に居る方が好きになる確率高いし」
「ほとんど顔、合わせないんじゃ仕方ねえよ」
「何だよ、男っぽいのが好きとか言ってたクセに。あんな女丸出しの三井 ハルカなんて選んでさ」


唇を噛みながら悔しそうに言う彼女に、晴斗はもう掛ける言葉すら失ってしまった。


「東京まで追っ掛けて来て、バカみたいだ」


1人呟くと立ち上がり、フェンスにもたれかかるとその場へ崩れ落ちる。


これまで自分が頑張って来たのは、一体何のためだったのか、そしてあの電話の冷たい言葉はこういう意味だったのかとようやく分かったからだ。