つい、そんな様子にイライラした晴斗は目の前の肉マンにガブっとかじり付いて怒りを表現する。


無言のまま昼食を終え、山下公園に向かうと幸せそうなカップルや家族ばかりが目に入り、余計に辛そうな表情を浮かべる陽生。


「陽生、俺……一緒に居ても楽しくない」


見かねて帰ろうとする晴斗に、ハッとなった陽生は袖をつかんで引き止める。


「待ってくれ」
「何のためのデートだよ、俺、楽しみにしてたのに」
「ごめん、でもさ、もう限界なんだよ」


陽生は、自分の中だけで抱えていた不安を全て晴斗に話し始めた。


聞き終えた晴斗は、深く同情して鼻を思わずすすり上げる。


「そっか、お前あいつを追いかけて来たんだな」
「でも、フィギュアで忙しいし、連絡してもそんな態度だし」
「そんなヤツ、あきらめろよ。幼なじみなのにさ、ヒドくねえか」


涙ながらにそう言う彼を見て、陽生は『うん』ともうなづけずに困った顔になった。


「あきらめられたらいいけど、ここまで来たし」