横浜デートの日も、陽生は1人浮かない顔だった。


掲載された『Love&Cherry』への感想がはかばかしくないと前夜、担当者からの連絡を受けていたからだ。


中華街で昼食を取る間も箸は進まず、窓の外を眺めては溜め息ばかり。


そんな陽生に対し、必死で盛り上げようとお土産屋で買ったお面を被り、おどけて見せる可哀想な晴斗。


「なー、これってまずいのか? 」
「美味しいけど」


点心を箸の先で転がしながら呟くと、お茶を口にする。


「とにかくメシ食えよ、元気出るぞ」
「ああ」


無理に口の中へ押し込むと、味すら分からないという顔で飲み込む。