それに、進学校に身を置いて慣れない東京生活を1人で過ごしている。


でも、現実には今夜中に担当者を納得させられる部分まで仕上げなくてはいけない。


17歳の彼女に取っては、何よりも辛いだろう。


一度デビューさえすれば安心だと夢を見ていただけに、現実は厳しく、重くのしかかる。


「もう辞めたいよ……樹はあんなだし、晴斗にはキスされるし」


1人呟きながら、モニター画面をにらむ。


『Kiss&cry』を書いていた時は、楽しくて仕方なかったこの作業が苦痛に変わっていた。


でも、書かなければ生活費は厳しい。