サワーチェリーパイ

「そういや、何の観戦なんだ？　」
「フィギュアスケートの日本選手権、そこにウチの生徒が出るんだ」
「御花台って体育会系じゃねーのに」


ここに来るまで知らなかったのかと、あきれながらも陽生は説明を始める。


「高田　樹って奴が２年に居るんだ、そいつの応援。ウチは確かに体育会系じゃ無いけど、まだ新設校なんだよ」
「でも、バカには入れないってガッコだろ？　」
「進学率が良くても、生徒が集らないと話にならない。それで、人寄せパンダみたいにスポーツで有名な選手を特待生として入れるんだ。活躍すれば、所属してる学校名が出るだろ、それで知名度を上げようって話」


新設校にはよくある手段で、御花台には他にもサッカーのジュニアユース所属選手や、ゴルファーも居た。


彼らが活躍し、マスコミで取り上げられる度、学校名も広まる。


学校側にしてみれば、特待生の授業料や住居費、コーチ代を払っても、オツリが来るほどの宣伝効果だった。