愛した人



ごめんね…、ごめんね湊。
貴方のことはもちろん、愛してる。…でも…、陽向は私にとってとても大切な人だから。



『泣くくらい、"陽向"が好きなんだな。』


湊が泣いてる私にそう言った。

 "好きなんだな"

好きだった…じゃなくて、好きなんだな…って湊は言った。


湊は凄いと思う。だって、彼女が元カレのコトを想って泣いてるのを見て、…そんなことを言ってくれるんだもん。

普通は、怒ったりすると思う。…でも…湊は笑顔で陽向のお墓を見てる。


「ありがとう。湊。大好き。」

湊を愛しいと想った。


今は、湊を愛してる。
陽向じゃない。
"青沢 湊"を愛してる。


『どうした?急に。』


湊はきょとんとしてる。


「愛しいって思ったから。」

私が微笑むと、湊も微笑んだ。

『なんだそれ。……でも、俺も愛してる。』