遅くまでかかった仕事がやっと終わり、椅子に座ったまま背もたれを後ろに倒すように伸びをした。
 ずっと同じ体制はキツいな、と思いながら伸びをした後に飲みかけのコーヒーに手を伸ばす。
 ふいに広い仕事場にカタリと何かの音が聞こえて慌てて周りを見ると、帰ったとばかり思ってた人が欠伸をしながら近付いてくる。

「あれ? 美依じゃん」

 電気代削減ということで半分ほど電気がついてないところで彼女は寝ていたらしく、まだ寝惚けた目を擦りながら彼女は私の名前を口にした。
 私は椅子ごとクルリと半回転すると彼女を見てコーヒーを啜る。

「由起、また寝てたのね。帰ったかと思ったよ」

「丁度急ぎの仕事があってさ。それやったら疲れちゃって」

 ふぁ、と大きな欠伸を一つしてから彼女、由起は私のコーヒーの入ったカップを取ると残りを飲み干して、カップだけを私の手の中に返してくる。
 私は溜め息一つ吐いて自分の机の上にカップを置くと由起は時計をチラリと見てから私を見てニンマリと笑った。