ねぇ、好き。上





「なぁ、岩佐。俺と付き合ってください」


と、晴くん。








「ごめんなさい。嫌です」





「おいおーい。お前、振られてんぞ?ドーンマーイ」
彼方くん。




「本気で、ダメ?」
彼方くんを無視し、あたしに聞いてくる晴くん。





「あなたは、本気なの?」





「本気だよ」





「嘘でしょ?信じられない」








「はぁ?信じられないってなんだよ」







「信じられないの。裏切られてばっかりで」




「俺にしなよ。大丈夫だからさ」




「嫌よ」


「そんな即答で言うなよ。俺、傷つくんだけど」



「でも、知らないわ。そんなの」





「うわ、お嬢様言葉出た!」







プツン…



「あたしは、お嬢様じゃない!お嬢様なんて嫌!もう、嫌!!」




「…なんだよ?どうした…?」








「あたしは、嫌なの!あの家なんて!あんな親なんて!自分が、気に入らないことがあったらあたしを強くビンタするの。痛いの!どうして、お嬢様なの?どうして、みんなお嬢様がいいの?意味わかんない。あたしだって、あたしだって…小さい頃はお嬢様になれたらいいなって思ってた。だけど、それは小さい頃のただの憧れだった。あのね、いざなってみると…怖いのよ。お嬢様なんて…。間違えたことするとすごく怒鳴られて、ビンタされるの。パン!って…。次は、何されるの?って怖いの…それでも、お嬢様がいいって思う?」









「…」




あたしは、こんな話を晴くんに話しても無駄なのに…
あたしの口は、止まらない。



「ねぇ、みんな思う?あたしは、嫌よ。思わないわ」




「…なんか、ごめん…」












「…みんな、あたしをお母様から守ってくれないの…。メイドたちも、お父様も…」





「…」







「だけど、1人だけ守ってくれる人がいるの…」






「…」





それはね…。












それは…。










「凛」








「…」



「あたしを助けてくれるのは、凛だけなの」





「…」










「凛だけ。あたしには、凛しかいない。凛しか、信用できない…」










「…桃」
と、凛があたしを小さな声で呼んだのが聞こえた。