「弘海くんには今朝荷物も返し終わったから。
だから…、大切にしてよね!
って、きゃっ!!」
教室に居る事も忘れた。
友達の前だからって格好つけるのもやめた。
紗由の左手を引っ張って、風に揺れてるカーテンの中で抱きしめる。
黄ばんだ色の、カーテン。
太陽の光をたくさん浴びて、暖かい匂いがした。
『大切にするよ…。
ずっと、大切にしてやる!』
「ゆんちゃん…
大切にしないと、許さないよ!」
おでこをくっつけて…、もう1度紗由を抱きしめる。
同じ過ちは繰り返さないように。
もう、紗由を泣かせたくない。
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