静かに開いた扉の前には、泣きそうな顔の紗由。
後ろ手で扉を閉めて…
紗由を… 抱きしめた。
「…ウウッ…っずるいよ、ゆんちゃん。
いまさらそんな態度…、ずるい!」
紗由の言葉に抱きしめた腕を強める。
ずっと、この腕の中に閉じ込めたかった。
他の男になんて、触れさせたくなかった…。
溢れ出す想いを… 止められない。
「何よ。ムカつく!
…何で他の人が…、ゆんちゃんって呼ぶの!
ゆんちゃんのバカ!
バカ!バカ!!」
『…さーちゃん。』
身長の低い紗由の頭を、胸に押し付けた。
紗由の耳元まで顔を埋めて、小さな肩を… 折れそうな位引き寄せる。
何だか不思議な感覚で…。
抱きしめてるのは俺の筈なのに、紗由に包まれてるみたいな。
涙が我慢出来なくなる。
「ゆんちゃん…、苦しいよ。
ねぇ、ゆ……」
『さーちゃん…。
一緒に居よう。これから先ずっと… 俺と一緒に居て。』
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