ボタンを打ちながら肩を落とした。


多分受信相手は弘海で、紗由が困る内容のメールかもしれない。





その証拠にほら……


アイツの足元には山になった雑草達。





俺の方は…、見向きもしないで。


梅雨の中休みとでも言うべき太陽が、さっきよりも位置を上げて俺達を照らしてる。



今までなら大好きだった夏なのに…。


この暑さが、これから先紗由を思い出させるのかと思うと苦しかった…―









「ゆんちゃんの事…さ。」


突然口を開いた紗由が発した… 聞きたくなかった言葉。

出来れば一生聞きたくなかった。


聞かない事にしたかった。











「…ゆんちゃんって呼ぶのやめる。

前みたいに松って呼ぶ。」

『っんで…。』








なんで…。


なんでそこまでするんだよ。



俺をゆんちゃんって呼んで良いのは紗由だけで…

紗由限定の呼び名なのに。




なんでだよ…――











「弘海くんがね、嫌みたいなの。

今もメールで……」







後の言葉は聞こえなかった。

紗由は泣きそうな顔で喋ってたけど… 頭の中には入っていかない。




もやもやした心の中に、怒りって感情が生まれた瞬間だった……。






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