朝が苦手な俺が早起きをした。
いや、正確には… 眠れなかった。
鳴らない携帯を握り締めて、紗由からの連絡を待ったんだ。
自分からメールを入れる勇気はなくて、待つ事しか出来ない不甲斐なさ……
恋愛は人を臆病にする。
踏み出す一歩が怖くなって、先の事を考える自分が嫌だ。
紗由に拒否されたこの気持ちを…、どう処理すればいいのか。
『行ってきます。』
いつもより30分も早く家を出た。
寝坊が特技な俺を知ってる母さん。
「今日何かあるのー?」
って声が後ろで聞こえる。
住宅街を抜けて右を曲がると学生が通る道に面してて、時間が早いせいか中学生が歩いてた。
昨日のテレビはどうだった、今日の体育はマラソンだ……
そんな話し声を横に受けて、少し速足で歩いてく。
朝方降っていた雨のせいでアスファルトには水が溜まり、腰で履いてるズボンが重みを増した。
いつもより早く出たのは… 紗由と話す為。
教室に居ると話せないし、かと言って今更連絡は出来ない。
紗由の登校時間に合わせて学校に向かう。
「はっ?祐輔じゃん!!
こんな早くにどうしたの?」
校門まであと100メートルって所で声を掛けられた。
後ろに居たのは、紗由の親友…、菜智(ナチ)
付き合ってる頃から何かとお世話になってて、俺の第2の相談相手。
昨日梨華子さんと一緒の所を見られたせいか、目を合わせるのが怖かった…。
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