「痛い!!」





「少しの我慢だから」

龍は買ってきた消毒液で
女の手当をしていた。


女の額にはガーゼが貼付けてあり
それ以外の頬と唇には絆創膏

龍から借りた
上等なバスローブを着るには
アンバランスな顔だ。



「完了。傷残らないとイイケド」
龍は相変わらず無表情だ


「ねぇ・・・」

「名前なんていうの?」

女はキッチンに立つ
龍に話しかける


「マグロ」


龍は猫を見ながら言うと
女はハニカミながら笑った


「猫の名前じゃなくて
あなたの名前は?」


「吉川 龍司」


みじん切りをした玉ねぎをバターで炒め始めた

バターと玉ねぎの甘い香がする



玉ねぎを炒めているフライパンに
一口サイズの鶏肉を入れる




「なんで私の事を
何も聞かないの?」

女は表情を隠したいのか
伏し目がちになりながら
問いただす


「喋りたかったら自分から話す
でしょ?」
龍は今料理に真剣だ
女は下を向いたままソファーへ
移動し座る