「いやマダ来てないッス」
新人の一人が答えた。


「あいつ同伴かなぁ?
ってか
もう3時じゃん!
今の時点で客が店内に
4組来ていて
アイツの事を待ってるんだよ
それでしかも
さっき龍の太客(金払いがよく
大金を使う客の事。
体型の事ではない)に会って
後で行くから
伝えておいて〜♪って
言われたんだよなぁ」

海斗が
ダルサ全開の顔で話す。

「なのに龍は電話出ネェし…
俺は痛客(暴れたり暴言を吐いたり、たいして金を使わない客)から鬼コールされてるし」
海斗が愚痴を言い出した。
新人達は、また海斗の長い話を
聞かされると思い
海斗と同じ表情をした矢先だった


「あれ?龍サンじゃないッスかぁ?」
新人の一人が
信号の先に立っている
黒い細身のスーツを着た
長身の男を指差した。


「ドコ?俺視力悪いんダヨ」
海斗は見つけ出せずイライラする


「信号の先に居ますよ」

新人の目線の先に居る
信号待ちをしている男は
遠くから見ても存在感があり
その風貌には控えめさと
清潔感からでる艶やかさがあった



紛れも無く海斗が探していた

Dragon RisingNo.1ホストの
如月 龍だった