「んなもん、MEEO(ここ)に入ったときから覚悟は決まってたさ」

まっすぐな瞳(め)で奏を見て言う
そんな悠太の姿にクスッと微笑む

「そう…。華澄と圭斗にはこのことは黙ってて」

「え…?」

意外が言葉に悠太が驚く


「二人はこのことは知らないわ。あたしから話す気もない」

「は?なんで…」

「二人だけは巻き込みたくないのよ」

「……」

(巻き込みたくないって…)

奏は自分を犠牲にしてでも華澄と圭斗にこの魔法都市を託すつもりだったのだ


「二人にはあたしのようになってほしくないのよ!誰であっても…10年前のような悲劇だけはどうしても避けたいのよ…っ!」

「……っ」

少し声を上げて言った奏に驚く
こんな奏は見たことなかったのだ

「あの時二人を助けなければ…篠原くんも助けなければ自分のようになってたかもしれない…。だから自分がどうなろうと構わない…」

「水城…」

「それに…あたしは篠原くんから家族を奪ったようなもんよ…」

(お前…まだそれを…)

奏はずっと夕紀を亡くしたことを悔やんでいた
自分のせいで悠太を苦しめているのではないかと