奏は唇を噛み締める
あの日の出来事を思い出すたびに歯がゆい気持ちになるのだった
「あの実験は平気で人の命を枯らすものなのよ…。ましてや黒魔法は実験と違い一瞬で命を奪う…」
「……」
「だけど…当時は黒魔法の存在はそこまで知られていなかった…。ごく一部の人のみでしかなかった…」
「……オレはお前の苦労を知らずにいろいろ言って悪かった…」
「篠原くん…」
悠太は悔しそうにする
(母さん…オレ…)
「水城。お前らが立ててる計画にオレも参加させてくれ」
「……え?」
悠太のいきなりの申し出に目を見開き驚く奏
「母さんはお前みたいな被害者を出さないためにこのMEEO(組織)を創った。ならオレは母さんの意思を継いで…この魔法都市(セカイ)とお前を救う」
強い意思を示す悠太
真剣な眼差しを奏に向ける
その眼差しに彼女は言葉を失う
そしてある確信をしていた
(まるで…あの時の夕紀さんと同じ目…。もしかしたら…彼なら…)
「いいわよ」
「え…」
「ただし、この計画に参加する以上もう逃げられないわよ」
悠太の覚悟を確認するように強い口調で言う奏に対し彼は―――


