その弥生の言葉に何度心を救われたことだろう
そうずっと思っていた

両親の居ない奏を弥生は引き取ってくれてMEEOのことだけじゃなく学校にも行かせてくれた

だからこそ、奏は弥生も守りたかった

「ねぇ、奏」

「はい?」

「たまには息抜きしてきたら?」

「え?」

一瞬キョトンとする

(息抜き?)

いまの状況からしたら息抜きなんて、と思ったけど弥生は弥生なりに考えがあるらしい

くすっ、小さく笑う
誤解しないように説明した

「息抜きって言っても散歩程度でいいのよ?ダウンロードしなきゃいけない、急がなきゃいけない。その気持ちは分かるわ」

「……」

「言ったでしょ?あなたは一人じゃないのよ?たまには甘えなさい?」

「弥生さん…」

奏はそれに素直に従うことにした
確かに急いでも仕方なかった

いつ何があるか分からない事態だからこそ冷静になる必要があった

街や人の様子に気を取られすぎてもいけないのだ

「忙しいと思うけど、いざとなれば私もいるから今日はゆっくり休むことよ」

司令官からの命令ね、とウインクしながら冗談ぽく言うと奏は「分かりました。」と言う

この頃ずっとあちこち行っててゆっくりすることを忘れていた