魔法都市


ふむ、と少し考える
研究施設の調査が行われるまで黒羽は動いていない
それは南雲も把握済みだ

百合華が言っていた"近いうちに動く"は実験も含めて何かしら企んでいるに違いない

「まとめて言うなら実験はいまは行われてない。強いて言うなら黒魔法の研究に没頭しっぱなし。そしてその黒魔法を活かしてなにかをしようとしてるのは間違いない」

「その"なにか"って?」

「さぁな?幹部連中はなに考えてるのはオレにはさっぱり」

「……そうか」

ざっとまとめて言ったものの相も変わらず研究だけは没頭している
南雲の役目はあくまでスパイとして"黒羽の様子とデータ収集"だ

バレたら最後、南雲自身も危ない
だからこそ軽率な行動は取れないのだ

「近いうちにって言ってもいつ動くのやら…」

「百合華のことだ…恐らく一年、いや半年以内に動くに間違いない」

碧人は南雲の話を聞いて予想を立てていた
自分が研究グループにいたからこそ、自分の妻だからこそ何となくどう行動するか予想した

その言葉に奏と南雲は今のうちにやるべきことをやらなければ何もかも全て間に合わないと察した

「碧人さん、アナタが私たちに協力してくれるおかげでいろいろ決心がついたわ」