「いえ…どのみちあの事件以来調べなきゃならないことだったんで」
「そうか…。なら私のことは聞いてるんじゃないか?」
「あー、えっと…黒羽百合華の旦那さんってのは」
碧人はこくりと頷く
奏は黙って二人の会話を聞くだけだ
南雲は潜入してる間、百合華から家族は話は聞いていた
朱理が碧人と百合華の娘だと言うことも知っていた
だけど、碧人の行方はいま会うまでは知らなかった
「お嬢さん、南雲くんになにも話さなかったのかい?」
「南雲はあくまでスパイとして黒羽に潜入中だしアナタのことがバレたらせっかく朱理と再会できるチャンスを潰しちゃうことになるからね」
「……なるほどな。お前が碧人さんが匿う理由理解出来たわ」
「話が早くて助かるわ」
奏の話に納得する二人
彼女なりの考えがちゃんとあるのだ
いま現在、碧人がこの最上階に匿われていることを知っているのは奏、南雲、洸、マナ、弥生、そして魔法管理委員会のほんの一部の上層部の人間のみだ
「南雲くん、キミが潜入してる間の組織のことを教えてくれないか?」
「もちろん。ちなみにお前どこまで話した?」
「この間研究所に殴り込みしたときにあの女に会って近いうちに動くってことくらいかしら」


