「なるほど…」
いくら一般人といえ、頭の回転が早い研究者も手強い
特別なチカラなど無くとも長年の研究と知識とどうにでもする相手だ
油断は出来ないと言っても過言ではない
ちょっと考えたかと奏は話を変える
「まあ、その研究員ども対策はどうにかなるとして…特訓の前にあんたに合わせたい人物がいるのよ」
「……合わせたい人物?」
「そう。あんたずっと"あっち側"にいたなら聞いたことない?黒羽碧人さんって名前」
「"黒羽碧人"……って、ああ」
もしかして、と言うと奏はそっと頷く
南雲が質問しようとするとそれを遮るように間髪入れずに話す
「詳しいことはちゃんと話すからとりあえず会って欲しいのよ。誰よりも黒羽の情報と今の現状を知りたがってる人だから」
「……わかった」
多少納得いかない様子だが渋々承諾する
そして最上階へと向かう
その間二人には一切会話がない
いろいろ聞きたいことだらけの南雲
「あ、着いた」
最上階に着くと前回同様見張りが二人いた
この間の人とは違うが奏を見るとピシッと背筋を伸ばして「お疲れ様です!」と気を貼り挨拶する
すると奏は若干ため息をする
「そんなにかしこまらないで良いのに…」


