「あ、やっと来たわね。南雲」
「よっ」
南雲(なぐも)と呼ばれた青年が手を上げて軽く挨拶する
向かい側に座ると店員を呼びコーヒーを頼む
すぐにコーヒーが運ばれて一口飲む
「…………」
「……」
お互いしばらく黙る
先に沈黙を破ったのだ南雲だ
「……で?急に近況報告も兼ねて会おうって何があったわけ?」
「決まってるでしょ。黒羽のことよ」
サラッと黒羽のことを口にする
南雲はやっぱりなと思いながらもどう話すか考えていた
「あなたなら黒羽の内部事情詳しく知ってるわよね?二重スパイ……いや、あたしの"協力者"さん?」
「……はぁ。相変わらず急な呼び出しは危険だって言ってんのに強引だよね奏は」
実は南雲は二重スパイである
簡単に説明をすると彼は奏たちの味方で協力者だ
そして数年前ほどから黒羽にスパイとして探りを入れるために潜り込んでいる
だから奏たちMEEOの情報も黒羽に渡しているがほぼ嘘情報だ
「仕方ないじゃない。こうでもしないと会えないんだし」
だが研究施設への調査の時に奏がわざと情報を南雲に渡して今どこの施設を調べるのかを黒羽側に教えていた
だからあの時黒羽百合華のホログラムも自然に登場させることが出来たのだ