「…………」

奏は黙って聞いていた

朱理の父親がいまどこで何をしているか
……それは本人とある人物しか知らないのだ

「朱理のお父さんいまどこに?」

そんな気など知らない華澄は質問する
だが返ってきた答えはさっきと同じだ

朱理は首を横に振って「わからない」と答える

「普通は見つかってもおかしくないけど、うまく逃げ隠れてるのかもね。だから奏に頼んでるの。もしお父さんを見つけたら保護してって」

「水城に?」

「えぇ。私は当時結成して間もないMEEO(ここ)に保護されたのよ」

「え…」

悠太、華澄、圭斗、要、咲哉はなにもかも驚くばかりだ
奏のことめたMEEOのこともまだほとんど知らないことばかり

この組織が出来た理由があの実験がきっかけであったことはみんな知っていたが、朱理は色んな意味では奏と同じ被害者の一人だ

「あたしが朱理と出会ったのは12歳の時よ。さっきも言った通り当時はこの組織が出来て間もない頃。事件解決どころか黒羽が行方をくらましたことによってなにもかも振り出しになった頃かしらね」

「今では感謝してるわ」

「朱理の働きっぷりのおかげよ。条件も飲んでくれたし」

そんな二人の会話に「条件?」と不思議に思った