「私の母、黒羽百合華はみんなが知ってる通り能力開発研究機関黒羽の研究長。そしてあの事件で行われていた人体実験……つまり能力者や魔法使い、そして無能力者をターゲットにしていた異能者実験の首謀者とも言ってもいいわ」

朱理は淡々と過去のことを話していく

百合華がターゲット以外にも研究員すらも実験対象にしたり終いには朱理な父親すらも実験対象にしようしていたこと

「私がその研究室によく出入りしていたわ。両親の研究を手伝うためにね。……でもまさかそれがあんな事件になるなんて知らなかったのよ」

「じゃあ朱理は研究の目的を知らずに手伝ってたってこと?」

「そうなるわ。あの事件から5年後くらいに黒羽が行方をくらましたのは知ってるわよね?」

「ええ」

「その間も実験は続いていたわ」

「……うそだろ」

朱理の話に信じられないとばかりに驚くみんな
その事件から約5年後

朱理が12歳くらいの時にその事件で次々に実験対象にされた人達が亡くなっていたことを知った
そして唯一生き残った奏の存在を知る

「その時に決断したの。もうこんなひどいことを終わらせるために出ていくことを。父もあの事件のことがどれだけ酷いことなのか分かっていたせいで出ていってしまいいまだに行方不明」